ひとひらのささめごと

ようこそ、「ひとひらのささめごと」へ。 ここは、私が思う事やゲームの感想、二次創作などを徒然と書く予定の場所です。  このblog内に書かれた二次創作の小説等は原作者様、出版社及び関係者各位様とは一切関係ありません。 また、閲覧後、気分を害されても責任を負いかねます。 またblog内の文章や設定などを記載が無い限り無断転載・二次使用はお止め下さい。

小さな幸せ(GPM)

GPM(ガンパレード・マーチ)のお話。 主人公は石津さん。
でもカップリングは来須×舞だったり。
ほのぼのとした日常…かな?
 


 いじめられるのが、つらくて、怖くて、悲しくて。
 逃げるようにこの戦車部隊にやってきた。
 ここでも私をいじめる人もいたけれど。
 …友達も、出来た。
 一人は、青い髪、青い瞳。
 何故かよく転んだり、頭の上に物が落ちてくる。
 不幸の代名詞みたいに言われているのに…いつも優しく笑っている人。
 田辺さん。
 彼女の肩にいる人とも、すっかり顔なじみになった。
 もう一人は、黒い髪、黒い瞳
 いつも肩をそびやかし、前を見据えている。
 たくさんの人の蔭口や悪口にも臆することのない、強い人。
 芝村さん。
 少し尊大な独特の口調で話す人だけど、よくみると優しい心が見える。
 
 仕事時間は終わったけど…今日は、雨。
 明日は雨漏りするかもしれない。
 憂鬱な気持ちになって小さくため息をつく。
 「石津さん!あ、きゃっ!!」
 声に振り向くと青い色が上から下へ高速に異動していた。
 濡れた靴が床で滑り、転んだのだということはすぐにわかった。
 そして、メガネの割れる音。
 「ご、ごめんなさい!!」
 誰にともなく謝りながら、予備のメガネを出してかけている。…いつもの事だから。
 私は箒とちり取りを持ってきて、割れたメガネの破片を片づけた。
 「どう…したの?」
 仕事時間は終わったが、いつもなら彼女はまだ仕事をしている時間だ。
 速水君が司令になって、空席になった3番機のパイロット。
 今までナビゲーターだった芝村さんがメインパイロットに移る事を言い出して、そのナビを誰がするかで色々あったのだが、最終的にパートナーとなる芝村さんの鶴の一声で田辺さんに決まった。
 以前から仕事熱心だった彼女だが、パイロットになってからはますます仕事熱心になっているように思える。
 「あの、芝村さんが石津さんの仕事を手伝いに行っていいって。仕事は一人でやっておくからって」
 「え…?でも…」
 パイロットの仕事はおろそかにすれば命にかかわる。戸惑っていると田辺さんはほんわかと笑った。
 「仕事は大丈夫です。このところ被弾もしていないので、3番機の整備は良い具合なんですよ。司令からもほかの部署の手伝いをするように言われてますし」
 そこまで言ってから思い出したように紙の箱を取り出した。
 「芝村さんからこれも預かってきました」
 …洗濯用洗剤。
 「あり…がとう…」
 軍から支給される石鹸より、闇でしか手に入らないこれの方が汚れ落ちが早く仕事が楽になる。
 「さ、お仕事しましょう?私、がんばりますから」
 
 一人でやるより二人の方が楽だし、仕事も手早くできる。
 気休めだけど屋上で雨漏り防止のカバーをかけると二人ともぐっしょり濡れてしまった。
 「着替えておいてよかったですね」
 「ね…」
 最初から予想がつくことだったので、体操服に着替えておいたからタオルで体を拭いて制服に戻ればよい。
 髪に多少水分が残るが、しばらくすれば乾くだろう。
 「二人ともここにいたか」
 そこにちょうど芝村さんが入ってきた。
 「舞さん。お仕事は…?」
 「小憩だ。夕食にするぞ」
 どうやら誘いに来てくれたらしい。
 「いい…わ…」
 「はい!がんばります!」
 否やはない。
 「場所…どこにするの…?」
 「味のれんに行くぞ」
 弁当はみんな昼に食べてしまう。妥当な行き先なのだが。
 「…お金、ないんです」
 田辺さんがうつむいてそう言った。
 昨日、イチゴがあるからと誘われて彼女の家に遊びに行ったら、彼女の家が…全焼していた…。
 芝村さんも思い当ったらしくバツの悪い顔をしている。
 「・・・コロッケ定食くらい私が出す。我らは友の苦難を見過ごしたりなどしない。………そんなに気が引けるなら、次の給料日に返してくれれば、良い」
 田辺さんが本当にすまなそうな表情をするので、芝村さんは言葉を付け加えた。
 とたんに田辺さんの表情に明るさが戻る。
 仲の良い二人の様子を見ていたら、一つ気になる事があった
 「…来須君…は……?」
 疑問を声に出してみると、見る見るうちに芝村さんの顔が赤くなる。
 「な…なぜここで来須が出てくるのだ!?」
 「外…仕事…してたから…。誘わない…の…?」
 雨の中走り込みをしている姿が屋上から見えていた。
 「そ、それは、そ、その、良いのだ。し、仕事の邪魔をするわけにはいかぬし………」
 舞さんがこんな風にしどろもどろになるのは珍しい。
 来須君と舞さんが付き合っているのは小隊のみんなが知っている。
 最初に聞いた時、本当は少し舞さんが妬ましかった。
 来須君は、私の憧れの人だったから。
 でも、二人が一緒にいると幸せな心が伝わってきて、私もうれしい気持ちになれた。
 だから、今は平気。
 「と、ともかく、あ奴の事は良い。行くぞ!!」
 まだ顔を赤くしたまま舞さんはそう言い、田辺さんはくすっと笑った。
 外に向かって歩き出した舞さんの後を追いながら、二人視線で笑いあう。
 行く先は、味のれん。
 三人並んで夕ごはん。
 一人で食べてもおいしいけれど、三人で食べたら、きっと、もっとおいしい事だろう。
 友達のいる幸せ。
 私が、この小隊に来て、知った事。
 


確か私が舞でプレイしているときに書いた小説だったような。
この女性三人が好きなんですよね、個人的に。
次点が壬生屋さんかな。