ひとひらのささめごと

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追憶 (サモンナイト)

サモンナイト(無印)のキール×あやのお話です。キール×アヤのお話です。
場面としてはパートナーEDの後。
すっかり出来上がってラブラブのお話。
自分で書いといてなんですが、砂糖が吐けそうですね…
 


 目を閉じて、思い出すのは
 大きな大きな、丸い月。
 夜でも明るいこの地ではなく、
 かの地で見上げたお月さま…
 
 ソファに座って本を読んでいる彼にそっと近づく。
 あれから1年、唐突にこの地にやってきた彼もようやくこの世界に慣れてきた。
 最初はどうなる事かと思ったけれど。
 彼がこちらに来たばかりのことを思い出して、私は忍び笑いを漏らした。
 「…アヤ?」
 本から顔を上げた彼が私を見る。
 「隣、いいですか?キールさん」
 「ああ、どうぞ」
 許可をもらって彼の隣に腰を下ろす。
 そうして再び本に目を落とした彼の肩に私の頭を預けた。
 「アヤ?」
 「…なんとなく、こうしていたい気分なんです」
 「………」
 彼は何も言わない。
 でも、拒否されているわけではないのはわかる。
 たぶん、何を言っていいのか分からなくなっているんだろう。
 「駄目ですか?」
 「いや…そんなことはないよ」
 そっけないわけではないけれど、平たんな調子で訥々とした話し方。
 手先は意外に器用なのに、言葉を操ることとなるととたんに彼は不器用になる。
 「…しばらく、こうさせていてください」
 「…わかった」
 彼がページをめくる小さな音だけが、部屋に響く。
 私はそっと目を閉じた。
 ふれあった場所から伝わる、彼の体温と心臓の音。
 この世で一番、私を安心させてくれるもの。
 こうしているだけで、幸せですべてが満たされてゆくような気がする。
 どうして、なんだろう。
 どうしてこんなにいとおしいのだろう。こんなにも、幸せなのだろう。
 どうして……
 私の中で生まれた疑問はいつものように心の中の暖かい空気にとけて、消えてしまった。
 


幸せの実感って意外と難しいものだと思うんです。
失って初めてわかる、とも言いますしね。
でもそれじゃつまらないのでアヤに目いっぱい幸せの実感をさせて見ました。
うん、空気が甘くて胸やけしそう…